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2010年2月

義務教育から権利教育へ④国内法(つづき)

最後に、学校教育法の就学義務規定に関する条項を見てゆきたいと思います。

学校教育法(1947年・昭和22年、1999年・平成11年改正)

【第2章 義務教育】
第16条  保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
第17条  
1. 保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間において当該課程を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。
2. 保護者は、子が小学校又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。
3. 前2項の義務の履行の督促その他これらの義務の履行に関し必要な事項は、政令で定める。

なお、参考までに、この規定には罰則も付されています。ただし、学校へ行かない選択をする子ども達が増えている中で、実際に罰金が科されることはほとんどないようです。

【第13章 罰則】
第144条  第17条第1項又は第2項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、10万円以下の罰金に処する。

ポイント

○この就学規定により、ホームスクーリングなど学校へ行かない選択をした子ども達は「不登校」の扱いを受けます。また、デモクラティック・スクールなどのオルタナティブな非正規学校へ通う子ども達も、従来の学区の小中学校に学籍を置かなければならない状況です(二重学籍の問題)。

○また、「教育の機会の保障」という日本国憲法や教育基本法に定められた義務教育の精神と、「義務教育=学校教育」という学校基本法の条文との間には、ギャップがあるように感じます。

義務教育から権利教育へ③国内法

■国内法

日本の最高法規である日本国憲法の教育に関する条文と教育に関する上位法である教育基本法の条文を見てみたいと思います。

日本国憲法(1946年・昭和21年)第3章国民の権利および義務
第13条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】(本文略)
第26条【教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、義務教育の無償】
1. すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2. すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。

教育基本法(2006年・平成18年)
第4条【教育の機会均等】
1. 全て国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、心情、性別、社会的身分、経済的地位または門地によって、教育上差別されない。
(以下略)
第5条【義務教育】
1. 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2. 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家および社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3. 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4. 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
第10条【家庭教育】
1. 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2. 国及び地方公共団体は、課程教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

ポイント

○上位法である憲法及び教育基本法には、子どもに合った教育を受ける権利があることが定められていますが、“子どもを学校へ通わせなければならない”“普通教育=学校教育”という規定はありません。(学校教育法ではじめてその規定がでてきます。これについては④で触れます)
○教育基本法では保護者に子どもの教育の第一義的責任があることを明記しています。

義務教育から権利教育へ②国際法

■国際法

国際法は国内において法的拘束力を持つものではありません。しかし、国内法の制定に影響を及ぼすものとして、教育権に関わるものを取り上げてみたいと思います。

世界人権宣言(1948年・国連採択)
26条:すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。(以下略)
3.親は、子どもに与える教育の種類を選択する優先的権利を有している。

国際人権A規約(1979年・日本批准)
13条:親に教育の選択権があることと、学校設立の自由を保障している。(日本は批准時に、中等教育の無償化と高等教育の無償化を留保)

児童の権利に関する条約(1990年・日本批准)
第3条:最善の利益の確保 子どもに関するすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。

(参考)人権委員会における国連人権高等弁務官「教育への権利に関する声明」(1990年)
―――無償で義務教育が受けられる権利があっても、それを辞退する自由が保証されていなければ、“教育への権利”は否定されている。

ポイント

○国際法において、教育への権利の保障と、子どもの最善の利益を優先させることが規定されています。
○また、親に教育の選択権があることが明記され、学校を選ぶ自由と学校を作る自由が保障されています。

義務教育から権利教育へ①はじめに

デモクラティック・スクールの話をすると、必ずといっていいほど「義務教育はどうなるのですか?」と質問を受けます。既存の教育制度によらないオルタナティブ・スクールやホームスクーリングと義務教育制度の関係について、何回かに分けて整理してみたいと思います。

重要なポイントは、「義務」が先にあるのではなく、教育を受ける「権利」が先にある、ということです。義務教育というと、ほとんどの人が「小中学校へは行かなければならない」と考えているようです。ところが、国際法や日本国憲法・教育基本法でも第一に保障されているのは、「教育を受ける権利」です。全ての子ども達、全ての人に、この権利があります。

この権利を保障するために設けられたのが「義務教育制度」であったと理解しています。とりわけ戦後の混乱期には、この制度が大きな役割を果たしたことは間違いないと思います。

ところが、いつしか権利の部分が置き去りにされたまま、法制度的にも私たちの意識の上でも、義務だけが重荷のように存在しているように思います。

そして、現実的な対応としては、オルタナティブ・スクールはほとんどが非正規学校として法的にはグレーゾーンに存在し、そこへ通う子ども達は、公立校にも籍だけ置くという二重学籍を持つことになります。

法律は、絶対のものとして存在するものではなく、時代やニーズの移り変わりとともにまた変化してゆく必要があると思います。そのような立場に立ち、教育への権利の確保という観点から、このテーマについて整理してみたいと思います。

第3回デモクラティック・スクール勉強会

第3回の勉強会を下記のとおり開催します。

皆さまのご参加をお待ちしております。

☆★☆★☆★☆

デモクラティック・スクール勉強会

「時間割なし」「テストなし」「子どもたちによる学校運営」を行っている新しい学びの場“デモクラティック・スクール”について考えてみませんか?

と き: 2010年3月13日(土)
13:30~(15:30終了予定)

ところ: 岩手大学図書館 1階 会議室
(正門を入って直進し、右手の建物です。駐車場あり。
会議室は、建物に入って右手奥の部屋です。)

内 容: デモクラティック・スクールの核心に迫る
        ―――人はどのようにして学ぶのか
米国サドベリー・バレー・スクール創立者の一人、ダニエル・グリーンバーグさんのお話(映像)を聞きながら、デモクラティック・スクールでの学びについて考えます。

参加費: 500円(会場使用料、資料代等に充てます)

問合せ・参加申込
デモクラティック・スクールを考える会 高橋
TEL:019-662-1461(留守電あり)
E-mail:nobukotaka@nifty.com
*準備の都合上、お手数ですが3月10日(水)までに参加のご連絡をいただければ幸いです。

☆★☆ お知らせ ☆★☆
*勉強会は今回で3回目ですが、デモクラティック・スクールについて、今回初めての方でも分かりやすく説明いたします。
*詳細は未定ですが、これ以降も勉強会は開く予定です。また、会員制でDVD等の資料の貸し出しも始める予定です。
*出張勉強会:場所等をご用意いただければ、小さなお子さん連れで気軽に参加できる会も考えています。詳しくは、お問合せください

私は信じています

第2回目の勉強会も無事終わりました。8名の参加で、新しい方も2名来てくださり、意見交換の時間にはお一人お一人のお話が聞けてよい時間を持つことができました。本当にありがとうございました。

実際に参加してくださった方、都合で来られなかったけれど関心を寄せてくださった方、チラシなどを見て「こんな学校もあるんだな~」と思ってくださった方・・・勉強会を開くことで、いろんな方向にエネルギーが広がっていくのを感じています。

また、理念共有も大事であると同時に、子どもたち(大人も)集まれる具体的な”場”をつくり、そこから立ち上げてゆく、という道筋も見えてきました。

期待半分、不安半分といった雰囲気の中、勉強会でうまく伝えきれなかったことを少し書いてみたいと思います。

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私は子どもたちを100%信じています。

私たちは生まれながらにして好奇心のかたまりであること。赤ちゃんや小さな子どもたちと過ごしていると、そう強く感じます。新しいことを知ったり、やってみたりすること、そのドキドキ・ワクワクは、私たちの生きる原動力のように思います。それは止めようと思っても止められません。学びとは本来喜びであるはずです。

特別な環境を用意してあげる必要もないと思います。(大人が先回りして用意したものには見向きもしないことも多いです。)また、デモクラティック・スクールに通ったからといって、社会から隔絶されるわけではありません。インターネットに象徴されるような情報社会の中で、必要な情報は必要な時に入ってきますし、子どもたちは物理的にも学校という枠から外れて自由に行動することができるので、社会と直に接する機会をむしろ多く持つことも可能だと思います。

私の子どもたちへの信頼は、自分自身への信頼につながっています。そして、大地や太陽や月への信頼とも。(私たちの誰も、明日地球が無くなったり、太陽が月が昇らないなどど思っていませんよね。)

それでもなお、不安があったとしても、大丈夫。何か問題が起こることがいけないのではなくて、それをどう乗り越えていくかに学びがあると考えています。問題は必ず起こります。人生にもハプニングがつきものです。でも、そこから必要な学び、成長が得られると信じています。

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